寒冷地のエアコンとファンヒータ コスト比較 その2
前回に引き続き第二弾。
寒冷地エアコンとファンヒータのコスト比較です。
自分も含めて寒冷地エアコンを使用している人が周りにいないため、
どうしても机上の空論になってしまいます。
1 いきなりの結論
結論から書きます。
青森県以南ならば、本体価格を考慮したうえで、寒冷地エアコンとファンヒータのコストはほぼ同等。
北海道より北ならファンヒータの圧勝です。
2 そもそも寒冷地エアコンって?
普通のエアコンと違うのは4点
①コンプレッサーの能力アップ
②凍結防止装置
③お値段
④少なくともー15℃まで対応。もっと低温まで対応する機種もあるようですが、出荷台数を考慮すると本体が高価格になるでしょう・・・
3 ネット検索では、エアコンの方が安いってでてるよ
ネットでの他サイト検索結果ですが、私が調べたサイトでは全て計算を間違えていました。
ある意味前回の通常エアコン試算より酷いです。
通常のエアコンのカタログ値は外気温2℃での値が広く使われていますが、
寒冷地エアコンだと、カタログ値は外気温7℃が使われ、
補足として外気温2℃及び-15度での性能が記載されています。
ネット上ではこの外気温7℃の数値で計算しているサイトがほとんど。
これは酷いwwwww
寒冷地の冬季気温7度って、白亜紀よりも気温高いんですけど。
4 試算してみる その1
例の如く、詳細なスペックは分かりません。
また、前回の計算根拠とした「温度が1度上がれば13%消費電力が増える」という前提も使えません。
なぜなら、上記前提は一般的なエアコンであり、寒冷地エアコンはコンプレッサーが違う以上、あてはまりません。
また、一般エアコンは外気温が氷点下あたりから暖房能力が急激に低下しますが、寒冷地エアコンだと-15度まで暖房能力が保障されるため、
少なくとも青森県までなら、消費電力の増加も緩やかだと推察されます。(-15℃を下回る地域だと電気を食うばかりで役に立たない可能性もあります)
よって、下記前提で計算します。
①暖房能力は三沢の冬季気温-6℃でも、十分余裕がある。よって、エアコン消費電力も最大値とならない。(④の前提条件)
②cop(効率)は下記サイトの資料から、暖房能力と反比例関係にあるとする。
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwik77DC-4fdAhXUMt4KHcagCB8QFjABegQICRAC&url=http%3A%2F%2Ftkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp%2Ftechnics%2F2-6.pdf&usg=AOvVaw1lSCgd6o5eE2qhC87O6e7Z
③暖房能力と外気温は比例するとする。
④前回は最大消費時での比較としたが、今回は暖房能力での比較とする。
5 試算してみる その2
電気代は1kwhあたり24円87銭 (2018年8月 東北電力)
灯油代は1675円/18L。(2018年8月 青森県)
ただし、冬季の値上がり・原油の値上がりを考慮して1800円/18Lとします。
価格com上位から適当に
エアコン「三菱電機 霧ヶ峰 MSZ-KXV2819」
ファンヒータ「ダイニチ FW-5617L(S)」
を選定します。
尚、ファンヒータは前回同じ機種ですが、エアコンは暖房能力を考慮して前回と違う機種です。
パナソニック 三菱電機 霧ヶ峰 MSZ-KXV2819s の性能
外気温 7℃ 暖房能力4.0kW 消費電力 0.89kW
外気温 2℃ 暖房能力5.9kW 消費電力 不明
外気温 -15℃ 暖房能力4.0kW 消費電力 2.66kW
消費電力と電気代
下の表を見てください。
青がカタログから持ってきた数値。黄色が前提条件から計算した数値。赤が計算結果です。
ダイニチ FW-5617L(S)の性能
灯油消費量:0.544~0.120L/H
消費電力:80W~190W
暖房出力:5.60kW~1.23kW
消費電力と電気代
エアコンと比較するため、暖房能力5.01kWと4.56kWで計算します。
6 試算してみる 結果
同じ暖房能力で比較した場合の1時間あたりの電気代・灯油代です。
外気温 -6℃ 暖房能力5.01kWの場合 ファンヒータ 52.90円/h
エアコン 45.65円/h
外気温 -10℃ 暖房能力4.56kWの場合 ファンヒータ 48.14円/h
エアコン 51.95円/h
外気温 -6℃ (青森県)ならば、1日14h運転、4ヶ月とするとエアコンの方が約1.2万円安くなります。
しかしながら経年劣化(ファンヒータはほとんど経年劣化しない)と本体価格差を考えると、ほとんど差は無いと思われます。
フィルター清掃などのメンテナンスを行いつつ、夏は冷房として使うことを考えるならば、寒冷地エアコンを導入するメリットは十分あります。
外気温 -10℃ (北海道)ならば、本体価格差を考慮するとファンヒータの圧勝です。
それ以前に4.56kWの暖房能力では出力不足。真冬なら6畳程度がやっとでしょう。
上位機種を買えば出力不足は補えるでしょうが、そうすると本体価格が更に上がります。
7 まとめ
青森県以南ならば、寒冷地エアコンを導入するメリットはあります。
しかしながら、北海道だと非常に割高ですし、地域によってはまともに動かない可能性もあります。
ファンヒータと違い燃料補給が不要、火事になる心配がないというメリットを優先するならば北海道でも購入はアリだと思いますが、いずれにしても冬季の外気温・降雪量を考慮する必要がありますね。
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